孤独女と王子様
列席者が揃い、外に並んでチャペルに行くように促された。

チャペルに向かって歩いている最中に、黒タキシード姿の・・・剛さんの後姿が見えた。

私は、周りにいる同期たちに分からないように剛さんの背中を軽くつついて、言葉を交わさずにその場を通り過ぎ、一瞬後ろを振り返った。

驚いた表情の剛さんだった。

何で驚くの?
今日この式に私がいること、知っているはずなのに。

チャペルでの挙式の最中には剛さんがいなかった。

終わって外へ出て、フラワーシャワーを行うために並ぶ位置を指示する時には剛さんがいた。

『間隔は開けないようにお願いします』

女性の係員から花びらを受け取り、横を通る新郎新婦にかけてあげるけど・・・

ダメだ。
私は剛さんが気になって仕方ない。

でも剛さんは私達を整列させた後は新郎新婦にかかりっきりだ。

そんな"仕事中の剛さん"を見られるのは貴重だと思って、私は目に焼き付けた。

次は披露宴。
私達は披露宴会場である"ペガサス"の横にある控室でドリンクを頂いている。
< 210 / 439 >

この作品をシェア

pagetop