孤独女と王子様
"成瀬川家の御曹司と繋がれば、店の売上に繋がる"と言われても、これまで似たようなニュアンスのことは言われていたからそれほど傷つかないはず。

でも、惚れた女性にそう言われてしまったさっきは、心臓に何かが突き刺さったような鋭い痛みが走ったんだ。

友達を作ることさえも避ける彼女が、僕の誘いに乗ってくれたのは、僕自身に興味を持ってくれたから?
それとも成瀬川家の御曹司という立場に惹かれてやってきたのか。

いずれにせよ、マスターの言うとおり、来てくれたんだから、まだ望みはある。

僕は、神戸さんにいくら突き放された言葉を言われても、彼女を嫌いになることができなかった。

諦められるわけないだろ・・・
25年生きてきて、君との出会いは今までに味わったことのない感覚なんだ。

何としてでも、僕の力で神戸さんの凍りついた心を溶かしたい。

心底そう思った。
< 25 / 439 >

この作品をシェア

pagetop