孤独女と王子様
『里絵子さんには由依ちゃんを会わせたの?』

ケン兄さんが聞く。

『まだ。待ち受けにしていた由依ちゃんの写メだけは見せたけど』
『存在だけは知らせているんだ。でもスケジュールが合わないんだろ』

母さんは忙しい。だからかなり前からスケジュールを押さえないと、会えない。

「実は来月の中旬の水曜日に仮押さえしているんだけどね。そこに重要な仕事が入らなければ、そこで由依ちゃんを連れて行くつもり」
『うっそ、初耳』

マリちゃんと遊びながらも、こっちの会話の声は耳に入ってくるようで、由依ちゃんは驚いた。

母さんのマネージャーを通じて、水曜日のまる一日を押さえている。
でもね・・・

『"里絵子タイム"があるから、分からないんだろ?』
『なぁに?"里絵子タイム"って』

レナっちが不思議そうに聞く。
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