孤独女と王子様
「由依ちゃんを縛りつけたくて、閉じ込めたくて・・・ごめん」
『謝らないでよ。私は嬉しいよ』
「由依ちゃん」
『剛さんの言うことなら、私は喜んで従うよ。ここから通う。仕事に』

今度は由依ちゃんから僕にキスしてきた。

「ありがとう。僕も出来るだけここに来るようにするから」

僕はそう言って由依ちゃんの頭を撫でた後、

「おいで、由依」

これは由依ちゃんの"甘えん坊タイム"の時に言う言葉。
つまりは僕と向かい合わせに抱きつく体制になることを意味する。

『ソファーでこれをやるのは初めてだね』
「もうここから先は僕に甘えん坊でいいんだからね、由依」
『でもまだお風呂に入ってないよ』

さっき、お風呂を溜めるスイッチを入れていたので、今頃は準備が出来ているだろう。

「お風呂を含めて、今日も僕に由依ちゃんを溺愛させて?」

服を脱がし、お風呂に入れるのも、湯船で可愛がるのも、全身を洗ってあげるのも、濡れた体をタオルで拭くのも、全て僕がひとりで動いた。

由依ちゃんは"自分でやる"と言ったけど、僕は頑なに由依ちゃんには何もさせなかった。
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