孤独女と王子様
『何でだろ?剛さんにプロポーズめいたものを言ってもらえる変な自信があったの。いや、その言葉がなくたって、私は勝手に剛さんとの将来を考えていたんだよ。だからさっき、健吾さんのおうちであんなことを言ったんだし。だから、私からもお願いします。剛さんを愛させてください。あなたの、妻として』
「由依・・・」

僕は力強く由依ちゃんを抱きしめたら、ふたりともバランスを崩してベッドに横になってしまった。

『剛さんは、私がどれだけ剛さんを愛しているかを知らないんだよ。恋人期間は短いけど、育んだ時間は意外とあったんだよ』

甘えん坊な顔のまま、僕の心を射抜く言葉を連発する由依ちゃんに僕の涙腺は決壊し、同時に男の本能も芽生える、感情が忙しく蠢いた。

「由依・・・」
『剛さん・・・また泣いちゃった』

耐えられなかったのは、お互い様だったようで・・・
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