孤独女と王子様
だって、健吾さんに口止めされているんだもの。
色々もろもろ。
う~ん、話題を変えたい。

『あ、そうだ。柳井くんには会った?』
「え?ゲホゲホ・・・」

私は食べていたカレーライスのごはん粒をのどに詰まらせてしまった。

『ちょっと、大丈夫?由依』

明らかに動揺してしまった。

「会ったよ。4月の終わりにイベントの手伝いで来たから」
『首都出版販売にいるんだってね。私それ知ったの昨日なんだよ。何で教えてくれなかったの?』
「だって、聞けば出版社じゃなくて書店営業みたいだったし、あんまりいい思い出ないから・・・」

私は、遥香に言えるギリギリの話はした。

高校の時の"ゲームにされた"話までは遥香にしていいだろう。
でも、剛さんの話をするのは、まだ躊躇った。
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