孤独女と王子様
「私のことも、信じてくれる?」

今までさんざん、人を信じない人生を送っていた私が、何を言っているんだろう。

それでも、剛さんはこんな私でも受け入れて欲しい。

『愚問だよ、由依ちゃん』

剛さんの穏やかな心臓の音が聞こえる。

『僕は、由依ちゃんのことなら何でも知りたいし、何でも受け入れられる自信があるし、お互いが信じ合って、尊敬出来る間柄こそ、夫婦だろ?』

剛さんは私の体を離して、私のおでこに自分のそれをぶつけた。

『それを無理なく自然に出来るのは、お互いの強い愛情が根底にあると、僕は思う。だから欲情してしまう』

と、そのままキスされた。

ま、マズい。
流されてしまう。

私、まだ帰ってきてお風呂どころか、服さえ脱いでいない。
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