孤独女と王子様
『僕、お姉ちゃんの弟みたいなので、よろしくね・・・お姉ちゃん、綺麗だね』
『こら啓慈、僕の前でナンパしないでくれる?』
『ナンパ?』
『このお姉ちゃんは、僕と結婚するの』
『えー?』

そう言って啓慈くんは剝れたけど、そんな彼の両手を、私は握った。
柔らかい・・・

「啓慈くん。突然現れたお姉ちゃんでごめんね。でも、剛さんと結婚したって、啓慈くんのお姉ちゃんであることに変わりはないからさ、だからよろしくね」
『ほんと?今度僕と遊んでくれる?』
「もちろんだよ」
『やったぁ』

そう言うと、啓慈くんは私に抱きついた。
その部分は、まだ子供なのかな。

『おい啓慈、人の彼女に気安く触るな!』

と、剛さんが低い声で怒っていたことは、ご愛嬌としましょうか。
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