孤独女と王子様
剛さんは仕事帰りだから、髪がセットされたままだ。

『あ~暑い。早くシャワー浴びたい』

車に乗った最初の剛さんのひと言がこれ。
多分、私の緊張を解こうとでもしているのだろう。

「確かに今日は蒸し暑いよね」
『でも、今日は家に帰るけど、父さんとの話が終わったら、僕は由依ちゃんと一緒にマンションに帰るよ』
「いいの?」

表向きは剛さんは実家暮らし。
多分帰りは私をマンションに送るのだろうけど、そうしたら帰りたくなくなるだろうから、っていうのが剛さんの意見。

実家に帰る方が最近では少ないと言えるほど、ほぼ"同棲"状態。

それを剛さんのお父様は分かっているのかな。
< 326 / 439 >

この作品をシェア

pagetop