孤独女と王子様
成瀬川邸。
自動的に門が開く。
鍬形家同様、そこからもしばらく車が走る。

違うのは、駐車場。
成瀬川家は地下に下り、そこから階段で1階のエントランスに出る。

エントランスの豪華さは鍬形の家とレベルは変わらない。
天井にはステンドグラスの代わりに、シャンデリアがきらめく。

『由依ちゃん、こっちだよ』

天井を見上げていた私に、剛さんが声を掛ける。

剛さんと一緒に入ったのは、応接間。

体が沈んでしまいそうな柔らかいソファーに座る。

すると、入ってきたのは、初老の男性。

『初めまして、私はこのお屋敷で秘書をしております、斉木と申します。以後お見知りおきを』

丁寧に頭を下げた斉木さん。

私も立ちあがって挨拶をした。
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