孤独女と王子様
「あの、神戸由依と申します」
『違うでしょ？由依ちゃん』
「あ、3日前から、鍬形由依になりました。剛さんとお付き合いさせていただいております。よろしくお願いします」

私も頭を下げた。

『そうですか。それはそれは。舟様の娘さんだと、社長から聞きました。私としては感慨深いですね。剛様が小さい頃お世話になった舟様の娘さんである由依様とご結婚されるわけですから』

"間もなく社長がここに来ます"と言って、斉木さんは去って行った。

程なく、社長・・・剛さんのお父さんが入ってきた。

意外と小柄。
でもズッシリと重みを感じる風貌なのは、何故だろう。

『お待たせしました』

私は立ち上がって挨拶をし、お父様も返してくれた。

『ほほう。舟君の娘さんが、剛の選んだ伴侶ということか。世間は狭いものだな』

穏やかな声で反対側のソファーに腰掛けたお父様。
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