孤独女と王子様
『話は長くなったけど、今なら姉さんや、舟さんたちの気持ちがよく分かるんだ。なぜなら、由依ちゃんの存在が、僕に新たな息吹を与えてくれた』

そう言って私の手を握った。

「うん。剛さんの気持ちはよく分かった。私も同じ気持ちでいるから」

私がそう言うと、剛さんは私の左手の甲をじっと見た。

『今度、舟さんたちとキャンプに行くだろ?それまでに、入籍しよう』
「そこにどんな意味を籠めているの?」
『キャンプのメンバーってさ、舟さん、律子さん、啓慈に由依ちゃんでしょ?そこに僕が入るって、何だかよそ者のような気がしてさ、由依ちゃんの旦那としての参加なら、本当の意味で"家族"の一員になれるかな、って思ったまで』

"別にいいよ、無理しなくても"と言って、剛さんは手を離した。
その手を、私は再び繋いだ。

「いいよ、そうしよう。直前の私達の休みに、手続きしようよ」
『うん。そうしよう』

こうして私は、急いでいるような、熟考しているような、そんな感じの話し合いで、剛さんの奥さんになる日が決まった。
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