孤独女と王子様
「あ、すみません。こちらこそよろしくお願いします」

慌てて私は返事をした。

局長と剛さん。
やはり全く顔は似ていない。

局長は大きな二重の目に漆黒の瞳。どちらかと言えば色白。

対して剛さんは切れ長の奥二重に褐色の瞳、局長以上に筋の通った鼻。そして色黒だ。

「似てないなぁ」
『ん?何かおっしゃいました?』

遠目で作業をする局長を見ながら独り言を呟いたら、横にいた花村さんから声を掛けられた。

「い、いえ、こっちの話で」
『ちょっとお疲れなんじゃないですか?独り言言うなんて』

既にサインを済ませている本をテーブルに積む作業をしながら、花村さんに言われてしまった。

「申し訳ありません。大丈夫です」
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