孤独女と王子様
「由依ちゃん、僕を誰だと思っているの?」
『何かその言い方、傲慢』
「僕はね、御曹司なんだよ」

そう言って笑い合った。

由依ちゃんは僕のどこまでの言葉が本心で、どこからが冗談なのかは分かっている。

以心伝心。

今までの友達にもそんな人はいなかった。

だから、由依ちゃんとのおしゃべりは楽しい。

会社に送るために由依ちゃんを車に乗せて、出発した。

「僕、今までに由依ちゃんに物をあげたことがなかったよね」
『うん。私も剛さんにプレゼントをあげたことがない』
「今までの、誕生日とか、クリスマスとか、あげるべき記念日のプレゼントを指輪にまとめたって言う意味ではどうかな」

プレゼントは値段じゃない。
でも婚約指輪や結婚指輪は一生ものだろうから、いいものをあげたいと思うのが男の性。
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