孤独女と王子様
「熟睡なら。きょうも働いてもらえるな」
『おぅ。この報酬は彼女のごはんと言うことでよろしく』

手料理が蒼への報酬である話は事前に由依ちゃんにはしてあるので、今頃大急ぎで帰宅している頃だろう。

"準備があるから、少し時間稼いできて"と言われているので、少しここで蒼と話す。

『お前、いい顔になったよ』

自分は座ったまま、立っている僕を見上げて蒼は言う。

「そう?老けたのかなぁ」
『バーカ。自分の好きな女性に良く思われたくて、自然と男が磨かれたんだろうな。老けたのとは違うよ』

由依ちゃんに愛されたいから、自分を良く見せようと僕は無意識に努力していたってことかな。

「そういうお前は、全然変わらないな」
『学生のノリなまま、かな?』
「いいのかよ、それで。親に何か言われてないか?」
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