孤独女と王子様
夕飯に筑前煮と他の和食が並ぶ。
蒼が好きなのは洋食の肉料理なのを知っていて、あえて由依ちゃんの得意料理たちをリクエストした。

それでも蒼は、

『うわぁ、美味しそう』

と言う。
普段は外食で贅沢三昧しているだろうから、こういうのもいいだろう。

『お口に合うかどうかわかりませんけど、どうぞお食べください』

由依ちゃんは謙遜しながら蒼に勧める。

荷物を入れ終わって、僕もお腹が空いた。

「いただきます」
『いただきます』

蒼は食べている間も"こういう料理は何年ぶりだろう""また食べたいな"ばかりを繰り返していた。

由依ちゃんはその感想に、

『どうぞ、いつでもいらしてください』

と蒼に向かって微笑んだ。

その由依ちゃんの顔を見た蒼は僕に、

『なぁ、どうやったらこんな美人をゲットできるんだ?外見だけじゃなく、中身の女子力も相当高いんじゃない?由依ちゃんは』
『そんなことないですよ。私は我儘なので、いつも剛さんを困らせてばっかりですから』
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