孤独女と王子様
「おい、ちょっと何触っているんだよ」

僕はいくら蒼でもそれは許せないと思った。
けど・・・

『勘違いするんじゃねーよ。これで結婚指輪のイメージ考えているんじゃんか。俺がお前たちのために、世界で1組だけのマリッジリングを作ってやるんだから、感謝しろよ』
「感謝するのは出来上がりを見てからにするよ」
『ったく、今日のお前は強気だな。由依ちゃんがいるからかぁ?』

そう言って"これ以上当てられたくない"と、蒼は帰って行った。

後片付けが終わり、後は寝るだけの状態。
今日は入籍最初の"甘えん坊タイム"だ。

『今日は意外だったな』
「何が?」

ソファーに座る僕に、正面から抱きついてしがみついた由依ちゃんが言う。

『だって、剛さんがいくら親友でも人に対して"お前"呼ばわりするなんて、知らなかった』
「あぁ、蒼のこと?アイツはナルガクの幼稚舎からの縁だし、僕は何の違和感もなく普通の呼び方なんだけどな」
『私は?』
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