孤独女と王子様
相変わらずの重厚な門をくぐり、奥の屋根付き駐車場に着くと、そこには前回なかった車が。

キャンピングカー、だよね?

『ここからは、あれに乗って移動するよ』

1台で移動するのはお父さんの提案。
今まで離れていた"家族"だから、今回はなるべく一緒にいたいという希望だった。

『僕、運転しますよ』

剛さんが立候補して、私が助手席に乗り、後部座席に舟さん、お母さん、啓慈くんの3人が乗ることになった。

車が発車した途端、口を開いたのは啓慈くんだった。

『お姉ちゃんは、ボクのお姉ちゃんなの?』

私は助手席から体を捻って後ろを向いて啓慈くんを見た。
やっぱり、顔はお母さんに似ている。

「うん、そうだよ。仲良くしてね」
『うん!』

啓慈くんの反応を見たお父さんが"フフ"と、鼻で笑った。
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