孤独女と王子様
翌日、車内のキッチンにあるトースターでパンを焼き、外ではバーベキューをした台の鉄板でお父さんが目玉焼きとウインナーを焼いてくれた。

コーヒーとともに頂く、贅沢な朝。

バーベキューは、ことの他楽しかった。
だからこそ、時間が足りない。

家族でいる時間の重要性を感じた行事だった。

「お父さん、家族のために時間をセーブするって言ってたけど…出来るのかなぁ」

一旦鍬形家に帰り、そこに停めていた車で自分達の住むマンションに帰る車中で、私はふと思った。

『出来るさ。舟さんが努力すれば、いくらでも。せっかく手に入れた夢の環境なんだし』
「うん」
『僕も頑張るよ、由依ちゃんのために』

マンションに着くと、玄関で剛さんにきつく抱きしめられた。

私は後ろ手で内鍵をするのがやっとだった。

『家族での催しも大事だろうけど…昨夜、由依ちゃんを抱けなかったのが辛かった』

と、深いキスを落としてきた。
けど…
< 379 / 439 >

この作品をシェア

pagetop