孤独女と王子様
桐生さんは、あまり酔っている感じはしないけど、割りとまくし立てた口調だから、よっぽど鬱憤が溜まっているんだろうな。
『あの人はね、長いこと社長の秘書をやっていたんだよ。ところが、社長に色目使って愛人扱いをして貰っていい気になっていたら、社長の今の妻の逆鱗に触れて、社員の手前クビにすることもできず、仕方ないから広告局で引き取ったのは4年前。でも広告でも煙たがられて俺が局長になったところでお荷物を引き取ったわけ。これ、内緒だぞ』
局長は枝豆をひとつ食べながら言う。
社長って…局長のお父さんじゃない。
『ずっと、こんな状態ですか?部数決める大事な会議もすっぽかすし、自分の好きな書店に行ったっきり帰ってこないし』
局長は桐生さんの言葉にバツの悪そうな顔をした。
『あの人はね、長いこと社長の秘書をやっていたんだよ。ところが、社長に色目使って愛人扱いをして貰っていい気になっていたら、社長の今の妻の逆鱗に触れて、社員の手前クビにすることもできず、仕方ないから広告局で引き取ったのは4年前。でも広告でも煙たがられて俺が局長になったところでお荷物を引き取ったわけ。これ、内緒だぞ』
局長は枝豆をひとつ食べながら言う。
社長って…局長のお父さんじゃない。
『ずっと、こんな状態ですか?部数決める大事な会議もすっぽかすし、自分の好きな書店に行ったっきり帰ってこないし』
局長は桐生さんの言葉にバツの悪そうな顔をした。