孤独女と王子様
12月。

平日のこの日、剛さんが用意したゴールドヘブンリーホテル内のチャペルで、私達は結婚式を挙げた。

ただ、披露宴は一切なし。
今このチャペルに参列しているのは、啓慈くんだけ。

前に立つのは、剛さんと私と、お父さんとお母さん。

つまりは2組で合同の式を挙げた。

そうしようと提案したのは、実は剛さんだった。

披露パーティーで"私には似合わない"とドレスを避けたお母さんを見て、剛さんは思いついたらしい。
"女性は一度はウエディングドレスを着てみたいと思うし、舟さんだって見たいと思っているはず"と。

提案をしたら、2人とも快諾してくれた。

お母さんも私も妊娠6ヶ月目に入り、お腹も目立ち始めたけど、あえてそれを隠すドレスにはしなかった。

ここで初めて、結婚指輪が登場した。
剛さんの友人の蒼さんが作ってくれた指輪。

とっくに出来上がっていたんだけど、結婚式の指輪の交換までは、身につけないでいた。
ここでお披露目される。

ハートのマークが細かく彫刻された、どこにもない世界で1組だけのリング。
私にはワンポイントでダイヤが埋め込まれている。

そして私達は神様の前で、永遠の愛を誓うのであった。
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