孤独女と王子様
―"里絵子さんが来てくれたから、大丈夫だよ"―

え?
母さん?

あの日本で1、2を争う忙しい大女優が?

とりあえず由依ちゃんのメールを受け取る前に宣言してしまっていたので僕は午前中で家に帰った。

確かに・・・母さんがいる。
しかもお世話する気マンマンのエプロン姿。

『あら、剛、早かったのね』
「母さん、仕事は?」
『"仕事"より"家族"よ。孫が生まれるって言うのに、仕事なんて出来ないわよ。だから私も産休を取ったの。だって由依ちゃんのお母さんは自分のことで精いっぱいのはずだし、男のアンタじゃ何の役にも立たないでしょ?頼りなさいよ、少しはこの私に』

自分の息子への強気で悪態をついた話し方は相変わらずだけど・・・

『本当はもっと早く来たかったのよね。映画の撮影が天候不良でスケジュールが延びちゃって、ようやく昨日オールアップしたのよ。明日が予定日の状態で、お腹が大きくなってからは大変だったんじゃない?靴下も履けないでしょ。ごめんね、由依ちゃん』
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