孤独女と王子様
『あ』「あ」

由依ちゃんが思い出したのと、僕が思い出したのと、ほぼ同時だったようだ。

『ガードマン！』

由依ちゃんの言葉に、僕が頷く。

『ガードマン？』

入ってきた先生は、不思議そうな顔をする。

『お、誰かと思えば、上杉じゃん』

ケン兄さんは顔見知りのようだ。
やっぱり。
あの時のガードマンをは、ケン兄さんの知り合いだったんだね。

『あのパーティー以来ですから、半年ぶりくらいですかね、先生』
『先生であるお前が先生ではない俺のことを先生と呼ぶこの違和感？』
『俺にとっては一生先生ですよ、健吾先生』

レナっちはそのやりとりにクスクス笑っていた。

『あ、申し遅れました。僕はこの病院の研修医で健吾先生がナルガクの先生やっていた頃の教え子でした、上杉陽平（ウエスギヨウヘイ）と申します。関係ないのに、健吾先生が来ていると聞いて、会いに来ちゃいました。すみません』

上杉先生はそう言って一礼した。


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