孤独女と王子様

『健吾がね、パーティーで私に変な虫がつかないようにって、陽平を送り込んだのよ。直接あのパーティーには関係ないのに、強引だよね』
『秘密にしていなければ桐生と高松でも良かったんだけど、あいつらにはまだ言えないから、仕方ないだろ』

ケン兄さんは子供みたいに言い訳を話した。

それにさらに大笑いした一同。
もちろん由依ちゃんも。

『さっき、新生児室にいる赤ちゃんを見てきたよ。どちらかと言えば、剛さん似だけど・・・まだよく分からないね』

レナっちが言う。

『今度、茉莉を連れて遊びに行くね～』

と、しばらく賑やかな部屋となっていた。

さらに翌日には遥香ちゃんと桐生くんも来てくれた。

『由依は孤独女じゃないよ。ちゃんと人生の節目を祝う仲間や家族がいるんだから』

遥香ちゃんはそう言ってベッドで半身だけ起き上がった由依ちゃんを抱き締めていた。