孤独女と王子様
初めて入るゴールドクラウンホテル。
ここは、遥香たちも泊まっているらしいけど・・・
どうやら日付が変わるのを狙って入籍するみたいなので、ホテルの到着は遅いみたい。

だから私達はホテルの部屋でゆっくり過ごすことにした。

『久しぶりだよね、2人だけで出掛けるの』
「そうだね。これからもなかなかないかも」
『でも僕は時々作りたいな、こういう時間』
「咲良を誰かに預けないといけないけどね」

子供の世話は大変。
でも私も自由な時間が欲しい時がこれから訪れるかも知れない。

『今日に関して言えば、母さんに感謝だな』
「うん」

ここはホテルの35階。
横浜の夜景が綺麗なので、私はずっと窓の外を眺めていた。

すると、後ろから静かに剛さんに抱きしめられた。

『こうすることも、久しくなかった気がする』
「そうだね」

出産を終えて"解禁"にはもうなっている。
けど、家には里絵子さんもいたので、声を抑えて申し訳なさげ程度に体を繋げていた。

それこそ、私がかつて住んでいた明宿駅近くのあのアパートにいた頃のように。
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