孤独女と王子様
こんな私で、剛さんは以前のように"抱きたい"と思ってくれているのだろうか?
セックスがただの"夫婦の義務"みたいなことになっていないだろうか?

『心配無用だよ、由依』

ベッドの上で私を後ろから抱きしめ、剛さんは優しく私に語る。

『僕は今の由依の方がいい。咲良に母乳を与えている姿を見ているとさ、そこには確かに母親の姿があるんだけれども、その後の由依は僕にとっては十分すぎるほど"女"だよ』

そう言って剛さんは私のうなじにキスをした。

『その"母"と"女"のギャップに、僕は惹かれる。それに、抱き心地も柔らかくて、より一層僕を欲情させる』

剛さんのこの言葉をきっかけに、明日に影響しない程度にブレーキをかけつつ、私達は横浜の地で愛し合った。
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