孤独女と王子様
『由依ちゃんは軽すぎるから、マスターの食事をたくさん食べるくらいが丁度いいよ』

そうだった。
今日はずっと私をおんぶしてくれた剛さん。

私はスプーンを置いて、剛さんに体を向けた。

「今日は本当に申し訳ございませんでした。このお礼に・・・何かしたいのですが、どうしましょう?」

剛さんは多才で多趣味過ぎて、何をすれば喜ぶのかが全く分からない。

思わず私は聞いてしまった。
すると、剛さんはニッコリ私に微笑んだ。

『そうだなぁ。その足だと来週どこか出歩くのは難しいだろうから・・・由依ちゃんのおうちに行くっていうのはどう?もちろん水曜日に』
「う、うちですか?」
『で、その時に僕のためにお勧めの本を1冊お店から持ってきてもらいたいな。一緒に読書するの。もちろんその本はただじゃないだろうから、お金は払うよ』

剛さんの提案に、借りを感じていた私はイヤとは言えなかった。

大変。
来週水曜日までに部屋の掃除しておかないと。
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