孤独女と王子様
由依ちゃんの料理は、すごく美味しかった。

「スラジェのマスターより、全然美味しい」
『剛さん、それは言い過ぎです』

2人で笑った。

午後になって、読書の続き。

夕飯もハンバーグを用意してくれた。

一歩も外へ出ない休日。
しかも由依ちゃんと一緒なんて、この上ない幸せだ。

明日から、また仕事に張りが出る。

『また、こういう休みの過ごし方、したいな』

由依ちゃんがぼそっと呟いたことで、ふたりの意見が一致した。

それからと言うもの、この年末までずっと水曜日は由依ちゃんと読書デート。
いや、デートではないか。

毎週のように、由依ちゃんのアパートに行った。
静かに読書するだけの過ごし方だけど・・・僕には大切な由依ちゃんとの時間だから。

由依ちゃんは僕のことをどう思っているのだろう。
でもまずは、僕を信用してもらわないと。
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