私の人生でたった一度の恋でした。
先生に別室に案内された部屋は、ベッドの上に兄貴がいて体を白い布で覆われていた。
唯一、分かるのは顔だけだったけどその顔も傷だらけだった。
「陸翔?」
「なんで寝てるんだよ。早く起きなさい。」
両親が、兄貴を呼ぶけど全然目を覚まさなかった。
俺はただ、立ち尽くすだけで最後に何も話せなかった。
歌優はずっと泣いていて、親も泣いていてなんで俺だけ涙がでないんだろうってずっと思っていて。
悲しいはずなのに、泣きたいはずなのに涙が全然出なかった。
その後は、瞬く間に時間は過ぎていて。
お葬式もおわっていた。
兄貴は、皆から人気者でいつも周りには友達がいた。
だから、お葬式にもたくさんの人が来ていた。
そんな兄貴が俺にとっては自慢だった。
だけど、そんか兄貴はいない…。
「お兄ちゃん。ごめんなさい。ご…」
‘‘ごめんなさい’’と言おうとした瞬間涙が出てきた。
なんで今更って。
どうして、あの時でなかったんだよって。
そればかり思っていた。
その頃から俺らの家族は狂い出したんだ。
両親は、俺に手を出してきて。
歌優にも手を出しそうになって歌優を親戚の家に預けたんだ。
全部俺が悪かったんだ。
兄貴にたのんだから…。
兄貴の人生を奪ってしまったんだ。
だから、幸せになれない。
ごめんな、星輝。
本当は、付き合いたかったし、一生側にいたかったけど。
ごめん。
〜叶星side〜END