私の人生でたった一度の恋でした。
〜歌優side〜
あれから、30分ぐらいしてから叶星は部屋から出てきた。
今にも泣き出しそうな顔で…。
だから、つい気いてしまったんだ。
「星輝の気持ち聞いたでしょ?」
私がこんな近くにいるとは思っていなかったらしく少し驚いていた。
「あぁ。だけど、断ったよ。」
「え?なんで断ったの?!叶星は好きだったんじゃないの?!」
そうだよ!!
叶星と星輝は、両想いだったんだよ。
「俺は、幸せになれないんだよ。」
「えっ?」
「兄貴の人生を奪ったのは俺なんだ。そんな俺が幸せにはなれない。」
「なにいってるの?そんなのお兄ちゃんが望んでるわけないじゃん!!」
「それでも!!それでも、俺が許せないんだ。」
でも、あれは小さい頃の話で。
確かに、叶星が言ったことだけど…。
そんなの、お兄ちゃんが望んでないよ。
「星輝は、どうするの?!自分はそれで満足かもしれないけど、星輝は?!」
「ごめん、としか言えない。」
「そんな…。じゃあ、星輝に新しい彼氏ができてもいいの?!」
「ッ!いいよ、その彼氏に幸せにしてもらってほしい。」
そう言って、叶星は家を出て行った。
なによ、それ。
そんな顔で言わないでよ。
未練タラタラじゃない。
「なんであんただけが、そんな不幸にならないといけないのよ。」
歌優の声は誰にも届かなかった。
〜歌優side〜END