私の人生でたった一度の恋でした。
〜歌優side〜
ー10年前ー
「お兄ちゃん、僕あのケーキ食べたい!」
お兄ちゃんが、死んだ理由はこれだった。
「お兄ちゃん、だめだよ。危ないよ!」
私は止めた。
だけど…。
「せっかくの誕生日なんだ。わがまま聞いてやんないとな!歌優はなんのケーキがほしい?」
逆に、私の欲しいケーキを聞いてきたんだ。
そうゆう優しいところが大好きだったの。
だけど、一時間たっても帰ってこなくて皆そわそわし始めたんだ。
「どうしよう。僕……僕…。」
叶星が一番慌てていた。
「大丈夫。お兄ちゃんは帰ってくるよ!!」
今の私にはその言葉しかかけられなくて…。
自分も泣きそうだったのに、強がっちゃって。
そんな時、家の電話が鳴ったんだ。
「はい、斉藤ですけど。」
その瞬間、お母さんは泣き崩れた。
そこからは、あんまり覚えてないけど。
病院に行って、先生に別室まで案内してもらって。
お兄ちゃんの遺体があって。
もう、訳がわからなかった。