私の人生でたった一度の恋でした。
だけど、それは歌優には通用しなかった。
「ちがう!!星輝さ、病院から帰って来てからなんかおかしいよ?本当にただの偏頭痛だったの?しかも、目が腫れてるし…。」
なんで、歌優にはバレるのかなぁ。
目が腫れてるなんて、本当に近くに来ないとわかんないはずなのに。
「歌優のばかぁ。ゔぅ〜。ぅゔ」
私はまた泣いてしまった。
「え、なんで?!なんでなくのぉ。」
歌優も半泣きで、今思うと変な光景だったよね。
「ごめん、歌優。ひっく、ゔぅ」
「うん、大丈夫。本当の病名はなんだったの??」
「癌だって。」
「え、癌…?」
「うん、今は家での治療を希望したけど、手術をすることになったら病院に入院しないといけないって。」
「手術って…。大丈夫だよね?成功するんだよね?」
「もしかしたら、麻痺が残るかもしれない。だけど、大丈夫だよ!絶対私は死なないから!」
「星輝ぁー!!」
歌優は抱きついて来た。
始めて、歌優が弱いところを見せた時だった。
あの時は、お互い‘‘癌’’って言う病気を詳しく知らなかったから頑張ろうと思ったんだよね。
だけど、そんな簡単な病気じゃなかった。
それに気づいた時はもう遅かったよ…。