私の人生でたった一度の恋でした。


「どういうことですか?」


「この間の検査で脳腫瘍が大きくなっていることがわかったんだ。転移も見つかった。もう、手術はできないくらいの大きさになっているんだ。」


「え、じゃあどうやって治療をするですか?」


「抗癌剤治療を行うかと話しているところなんだ。だけど、子供には負担が多すぎるんだ。」



「でも、それしか助かる事は出来ないんですよね?」


先生は、なんとも言えない顔をしていた。


「先生、抗癌剤治療をしたら必ず助かるよね?また、皆で暮らせるよね?」



先生はずっと下を向き無言だった。



「答えてよ!ねぇ、ゔぅ、お、ねがい助けてよ!星輝を!ヒック、ゔっ。」



歌優は、泣き崩れてしまった。


「歌優…。先生、俺かもお願いします。答えてください。」



「これは、まだ本人には言っていないんだが…。星輝ちゃんが助かる可能性は。30%なんだ。」



30%…。


70%の確率で星輝は死ぬんだ。

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