私の人生でたった一度の恋でした。
ガラガラ
ふと、ドアに顔を向けると叶星が帰ってきた。
「お帰り、叶星!」
「…おう。」
「どうしたの?元気なくない?」
「あのさ、俺嘘とかつけなしい。この事がバレて悲しむよりかは今知っておいた方がいいと思うんだ。」
星叶と歌優はいまいち話の内容が理解できず首を傾げていた。
「なんの話??」
おもわず聞き返していた。
「あのな、ちゃんと聞けよ。」
「うん。」
「星輝は癌が転移して、転移した場所が…。」
叶星が帰ってきてから嫌な予感はしていたんだ。
なにかあるんじゃないかなって…。
だけど、こんな現実を突きつけられるなんて思いもしなかった。
「日常生活とかを記憶するところに転移したんだよ…。」
「……。」
しばらくは無言だった。
頭がどうしてもおいつけなかった。
そんな無言を破ったのは歌優だった。
「え、それってつまり。記憶がなくなっていくの?」
「あぁ。これからはどんどんなくなっていく。多分俺たちのことや親のことも…」
「そんなのやだ!私どんな治療で頑張るからだから!記憶だけはなくならないでよ!!」