シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
5歳の私は、ショウ君と、ヒマワリ畑にいた。
辺り一面、おびただしい数のひまわりで埋め尽くされている。
私たちよりはるかに高い背丈のヒマワリたち。
色の鮮やかさだけでなく、その大きさにも圧倒されていた。
「綺麗ね~。おっきいし」
私は思わずつぶやいたように思う。
「そうだな。なあ、雫。知ってるか?」
ショウ君はそう言うと、そばにあった比較的背が低いヒマワリに触れた。
そして何かをつまみとったようだ。
「これ、ヒマワリの種」
「たね?」
「そ。これをまくと、ヒマワリができるんだ」
ショウ君の手の上に乗っている、その小さな種を私は覗き込んだ。
「こんな小さいのから、あんな大きなヒマワリが?」
「うん。不思議だよな」
「へぇ~」
「で、これはこうして……」
そう言うやいなや、ショウ君はその種を口に入れた。
「ああっ! 汚いよ! 病気になっちゃう!」
完全にお母さんの受け売りだと思うけど、私はそう言って注意した。
注意したというよりも、「騒いで叫んだ」が正解かな……。
ショウ君は泰然自若として、まるで普通のお菓子を食べているかのように、もぐもぐやっている。
「やっぱり知らないか。これ、食えるんだ。殻はこうして出す」
やがて彼はペッと、広げた手のひらに殻を吐き出した。
「汚くなんかない。雫も食うか?」
「私はいいよ~。おいしいの?」
「僕は普通。好きでも嫌いでもない」
「じゃあなんで食べたのよ~!」
私がなじると、彼はおもしろそうに笑いながら言う。
「雫に見せたくて。これ食べるの、ハムスターだけじゃないんだぞ」
辺り一面、おびただしい数のひまわりで埋め尽くされている。
私たちよりはるかに高い背丈のヒマワリたち。
色の鮮やかさだけでなく、その大きさにも圧倒されていた。
「綺麗ね~。おっきいし」
私は思わずつぶやいたように思う。
「そうだな。なあ、雫。知ってるか?」
ショウ君はそう言うと、そばにあった比較的背が低いヒマワリに触れた。
そして何かをつまみとったようだ。
「これ、ヒマワリの種」
「たね?」
「そ。これをまくと、ヒマワリができるんだ」
ショウ君の手の上に乗っている、その小さな種を私は覗き込んだ。
「こんな小さいのから、あんな大きなヒマワリが?」
「うん。不思議だよな」
「へぇ~」
「で、これはこうして……」
そう言うやいなや、ショウ君はその種を口に入れた。
「ああっ! 汚いよ! 病気になっちゃう!」
完全にお母さんの受け売りだと思うけど、私はそう言って注意した。
注意したというよりも、「騒いで叫んだ」が正解かな……。
ショウ君は泰然自若として、まるで普通のお菓子を食べているかのように、もぐもぐやっている。
「やっぱり知らないか。これ、食えるんだ。殻はこうして出す」
やがて彼はペッと、広げた手のひらに殻を吐き出した。
「汚くなんかない。雫も食うか?」
「私はいいよ~。おいしいの?」
「僕は普通。好きでも嫌いでもない」
「じゃあなんで食べたのよ~!」
私がなじると、彼はおもしろそうに笑いながら言う。
「雫に見せたくて。これ食べるの、ハムスターだけじゃないんだぞ」