シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
臨海公園
臨海公園は、夜でもそこそこの賑わいを見せていた。
「近くにホテルが幾つもあるからな。観光客も多い」
ショウ君が説明してくれた。
街灯などのおかげで、公園内はそれほど暗くない。
もちろん、「昼間ほどの明るさ」などと言うと、言いすぎになるけど。
そして、そばに海があることで、夜の海風が優しく頬に辺り、気持ちいい。
気温もグッと下がっていて、過ごしやすく感じられた。
「潮風が気持ちいいね」
ショウ君に言うと、「そうだな」と答えてくれた。
「タワーって、向こうに見えてるあれでしょ?」
私が指差す先には、ひときわ高くそびえ立っている建物があった。
細長くて、まさしくタワーだ。
キラキラときらめいていて、すごく綺麗だと思った。
その後ろには、多くの星が瞬いている。
「あ、あれ、さっき見られなかったアルタイル? ベガとデネブも見えてるし」
「うん、正解。ちゃんと覚えたんだな」
褒められて少し嬉しくなる。
「俺、天体望遠鏡も持ってるから、今度一緒に見ようぜ。多分、雫も気に入ると思う」
「ありがとう、お願いね」
すごく星に興味が出てきた。
「じゃあ、あのタワーに向かうぞ。最上階のレストランは、かなり値が張るが、その分、味も景色も抜群だから、楽しみにしておけよ」
「そ、そんなにお高いところで……。ほんとにいいの? 桜ヶ丘さんに怒られない?」
「会長がそんなケチだと思うか? 多分、俺が会長から預かっているカードの残高を教えると、雫は目を回すな」
愉快そうに言うショウ君。
こ、怖い……。
でも、大企業の会長さんだから、カード残高がすさまじくても当然なのかも。
そんな人と、明日から、お見合いなんだ。
私はハッとする。
お見合い……。
ショウ君とじゃなく、桜ヶ丘さんと。
桜ヶ丘さんには申し訳ない限りだけど、全く気が乗らなかった。
桜ヶ丘さんのとてつもないステータスの高さも、今の私の心には響かない。
私にはショウ君だけ。
でも……。
明日から、お見合い開始ってことで、ショウ君とは気軽に逢えなくなっちゃうんだよね……。
そもそも、今日中には桜ヶ丘さんがご到着予定らしいから、帰宅後まもなく、そういうことになっちゃうかも。
……つらい……。
私、耐えられるかな。
「どうした? 深刻そうな顔して」
立ち止まって、私の様子をうかがうショウ君。
「んっとね……」
言いにくいけど、私は打ち明けることにした。
「もうすぐ、桜ヶ丘さんがご到着でしょ。そうなると……もうこうして、気楽に二人で出かけられなくなっちゃうんだなって……」
ショウ君の顔も曇る。
「そんな顔するなって。またいつでも逢えるから」
「でも……お見合いするんだよ」
「会長には申し訳ないけど……。このお見合いが破談になって、1年くらい経てば、きっと普通に逢っても許されるはずだろ。まぁ、最初は周りから、とやかく言われるだろうけども」
「ええ~、1年?!」
やだ、待ちきれない!
「とりあえず、話は後だ。もうすでに7時を回ってるんだぞ。会長が何時にお帰りなのか、まだ知らせが来ないけれど、お帰りになられた瞬間、さっき言ってたように逢いづらくなるからな。貴重な時間だろ。急ごうぜ」
ショウ君の言うとおりだと思った。
私は「うん」と頷くと、足を速める。
「お、急ぐ気になったか。じゃあ、行くぞ」
私たちはタワー入り口へ向けて、早足で歩いた。
「近くにホテルが幾つもあるからな。観光客も多い」
ショウ君が説明してくれた。
街灯などのおかげで、公園内はそれほど暗くない。
もちろん、「昼間ほどの明るさ」などと言うと、言いすぎになるけど。
そして、そばに海があることで、夜の海風が優しく頬に辺り、気持ちいい。
気温もグッと下がっていて、過ごしやすく感じられた。
「潮風が気持ちいいね」
ショウ君に言うと、「そうだな」と答えてくれた。
「タワーって、向こうに見えてるあれでしょ?」
私が指差す先には、ひときわ高くそびえ立っている建物があった。
細長くて、まさしくタワーだ。
キラキラときらめいていて、すごく綺麗だと思った。
その後ろには、多くの星が瞬いている。
「あ、あれ、さっき見られなかったアルタイル? ベガとデネブも見えてるし」
「うん、正解。ちゃんと覚えたんだな」
褒められて少し嬉しくなる。
「俺、天体望遠鏡も持ってるから、今度一緒に見ようぜ。多分、雫も気に入ると思う」
「ありがとう、お願いね」
すごく星に興味が出てきた。
「じゃあ、あのタワーに向かうぞ。最上階のレストランは、かなり値が張るが、その分、味も景色も抜群だから、楽しみにしておけよ」
「そ、そんなにお高いところで……。ほんとにいいの? 桜ヶ丘さんに怒られない?」
「会長がそんなケチだと思うか? 多分、俺が会長から預かっているカードの残高を教えると、雫は目を回すな」
愉快そうに言うショウ君。
こ、怖い……。
でも、大企業の会長さんだから、カード残高がすさまじくても当然なのかも。
そんな人と、明日から、お見合いなんだ。
私はハッとする。
お見合い……。
ショウ君とじゃなく、桜ヶ丘さんと。
桜ヶ丘さんには申し訳ない限りだけど、全く気が乗らなかった。
桜ヶ丘さんのとてつもないステータスの高さも、今の私の心には響かない。
私にはショウ君だけ。
でも……。
明日から、お見合い開始ってことで、ショウ君とは気軽に逢えなくなっちゃうんだよね……。
そもそも、今日中には桜ヶ丘さんがご到着予定らしいから、帰宅後まもなく、そういうことになっちゃうかも。
……つらい……。
私、耐えられるかな。
「どうした? 深刻そうな顔して」
立ち止まって、私の様子をうかがうショウ君。
「んっとね……」
言いにくいけど、私は打ち明けることにした。
「もうすぐ、桜ヶ丘さんがご到着でしょ。そうなると……もうこうして、気楽に二人で出かけられなくなっちゃうんだなって……」
ショウ君の顔も曇る。
「そんな顔するなって。またいつでも逢えるから」
「でも……お見合いするんだよ」
「会長には申し訳ないけど……。このお見合いが破談になって、1年くらい経てば、きっと普通に逢っても許されるはずだろ。まぁ、最初は周りから、とやかく言われるだろうけども」
「ええ~、1年?!」
やだ、待ちきれない!
「とりあえず、話は後だ。もうすでに7時を回ってるんだぞ。会長が何時にお帰りなのか、まだ知らせが来ないけれど、お帰りになられた瞬間、さっき言ってたように逢いづらくなるからな。貴重な時間だろ。急ごうぜ」
ショウ君の言うとおりだと思った。
私は「うん」と頷くと、足を速める。
「お、急ぐ気になったか。じゃあ、行くぞ」
私たちはタワー入り口へ向けて、早足で歩いた。