シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
「もういいよ。ただ今をもって、計画おわりっ!」
満面の笑みで言うショウ君。
そういえば、さっきからショウ君は座ったままだ。
桜ヶ丘さんが入ってこられたというのに、立ち上がりもしないで。
どういうことなの……。
ショウ君が喜色満面といった様子で、私のほうを向き、そして言った。
「ずっと言ってただろ。全て清算してから、事情を話すって。清算は今済んだから、もう話せるな。俺が桜ヶ丘だ」
「えええええええ!?」
ショウ君、何言ってるの?
私にとっては、理解の範疇をはるかに超えている言葉だった。
「びっくりするのも無理はないよな。はっきり分かりやすく説明するぞ。俺の本名は、桜ヶ丘尚哉っていうんだけど……『さくらがおか なおや』じゃなくて『しょうや』だ。あの書類では、あえて『なおや』とフリガナを打ったけどな。ほら、聞きなれた響きだろ? 『しょうや』……『しょう』だぞ」
「えっと、ショウ君はショウ君だったんだ。ん? 当たり前だ。何言ってんだろ、私。んんっと、ショウ君が桜ヶ丘さんで……じゃあ、そこにいらっしゃる桜ヶ丘さんは……?」
混乱して、なかなか頭の中を整理できない!
そんな様子を見て、楽しげに笑うショウ君。
「ちょっと~。笑わないで、説明してよ。全部話してくれるんでしょ?」
私は聞きたくて聞きたくて、我慢できなかった。
「笑ってごめんな。まぁ、そういうリアクションが当然だ。少しずつ整理していこうぜ。俺が桜ヶ丘尚哉で、雫の幼馴染。幼稚園時代は、父方の姓である『弓長』を名乗ってたけどな。で、そこに棒立ちで突っ立ってる男が蓮藤翔吾。俺の秘書であり、代理人であり、右腕って感じのヤツだな。んで、俺らは、とある事情ってか、作戦により、入れ替わってたわけ。ああ、そいつの名前にも『しょう』が付いてたのは、全くの偶然。まぁ、『しょう』ってのが名前についてる男なんて、世の中に数え切れないくらいいるはずだし、仕方ないよな。どうだ、理解できたか?」
まだ事態を完全には理解しきれていない私は、ただただ呆然と聞いていた。
「で、でも……! プロフィールのお写真はどうして?!」
「ああ、それは謝らないとな。一応、騙してたわけだし」
ばつが悪そうに言うショウ君。
「もちろん、写真も入れ替えといたさ。俺は変装とか大の苦手だし、写真がそのままならすぐにバレてしまうからな。雫だけでなく、雫のご両親をも欺いてしまったわけだから、この点については、平身低頭、謝るよ。すまなかった」
立ち上がり、深々と頭を下げるショウ君。
もっとも、私にとっては驚きが大きすぎて、ちっとも憤りの気持ちはないんだけど。
もし仮に怒ってたとしても、大好きなショウ君から、こんなに真摯な態度で謝られたら……確実に許しちゃう。
でも、もっとも聞きたいことが一つあったので、それを質問としてぶつけてみた。
「でも……どうしてこんなことを?」
「こんな面倒なことを、ってことだろ? うん、もちろん、理由はあるぞ。そうでないと、こんなことしないからな。ちょっと話は長くなるけど、いいか?」
「もちろん!」
異論なんか、あるはずがなかった。
知りたくて知りたくてどうしようもなかったし。
満面の笑みで言うショウ君。
そういえば、さっきからショウ君は座ったままだ。
桜ヶ丘さんが入ってこられたというのに、立ち上がりもしないで。
どういうことなの……。
ショウ君が喜色満面といった様子で、私のほうを向き、そして言った。
「ずっと言ってただろ。全て清算してから、事情を話すって。清算は今済んだから、もう話せるな。俺が桜ヶ丘だ」
「えええええええ!?」
ショウ君、何言ってるの?
私にとっては、理解の範疇をはるかに超えている言葉だった。
「びっくりするのも無理はないよな。はっきり分かりやすく説明するぞ。俺の本名は、桜ヶ丘尚哉っていうんだけど……『さくらがおか なおや』じゃなくて『しょうや』だ。あの書類では、あえて『なおや』とフリガナを打ったけどな。ほら、聞きなれた響きだろ? 『しょうや』……『しょう』だぞ」
「えっと、ショウ君はショウ君だったんだ。ん? 当たり前だ。何言ってんだろ、私。んんっと、ショウ君が桜ヶ丘さんで……じゃあ、そこにいらっしゃる桜ヶ丘さんは……?」
混乱して、なかなか頭の中を整理できない!
そんな様子を見て、楽しげに笑うショウ君。
「ちょっと~。笑わないで、説明してよ。全部話してくれるんでしょ?」
私は聞きたくて聞きたくて、我慢できなかった。
「笑ってごめんな。まぁ、そういうリアクションが当然だ。少しずつ整理していこうぜ。俺が桜ヶ丘尚哉で、雫の幼馴染。幼稚園時代は、父方の姓である『弓長』を名乗ってたけどな。で、そこに棒立ちで突っ立ってる男が蓮藤翔吾。俺の秘書であり、代理人であり、右腕って感じのヤツだな。んで、俺らは、とある事情ってか、作戦により、入れ替わってたわけ。ああ、そいつの名前にも『しょう』が付いてたのは、全くの偶然。まぁ、『しょう』ってのが名前についてる男なんて、世の中に数え切れないくらいいるはずだし、仕方ないよな。どうだ、理解できたか?」
まだ事態を完全には理解しきれていない私は、ただただ呆然と聞いていた。
「で、でも……! プロフィールのお写真はどうして?!」
「ああ、それは謝らないとな。一応、騙してたわけだし」
ばつが悪そうに言うショウ君。
「もちろん、写真も入れ替えといたさ。俺は変装とか大の苦手だし、写真がそのままならすぐにバレてしまうからな。雫だけでなく、雫のご両親をも欺いてしまったわけだから、この点については、平身低頭、謝るよ。すまなかった」
立ち上がり、深々と頭を下げるショウ君。
もっとも、私にとっては驚きが大きすぎて、ちっとも憤りの気持ちはないんだけど。
もし仮に怒ってたとしても、大好きなショウ君から、こんなに真摯な態度で謝られたら……確実に許しちゃう。
でも、もっとも聞きたいことが一つあったので、それを質問としてぶつけてみた。
「でも……どうしてこんなことを?」
「こんな面倒なことを、ってことだろ? うん、もちろん、理由はあるぞ。そうでないと、こんなことしないからな。ちょっと話は長くなるけど、いいか?」
「もちろん!」
異論なんか、あるはずがなかった。
知りたくて知りたくてどうしようもなかったし。