シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 やがて車は別荘に到着し、私たちは車を降りた。
 別荘は、想像していたものよりも広く大きく、そして美しかった。
 白を基調とした概観が、青空によく映える。
 素敵なところだなぁ。

 どこか遠くからセミの声が聞こえる。
 そよ風が肌に心地よい。
 島の空気は、あの頃と同じように感じられた。
 こういう暑い時期に……私はショウ君に恋をしたんだ。

「どうぞ、こちらへ」
 ドアを開けてくれる蓮藤さんに会釈をしてから、私たち家族は別荘の中へ足を踏み入れる。
 外観と同じく、別荘内も綺麗だった。
 広々とした玄関まで、掃除が行き届いているようだ。
 内装も白を基調とした、清潔感ある感じで、非常に好感が持てる。
 こんなところで、ショウ君と一緒に暮らせたら……。
 桜ヶ丘さんには大変失礼ながら、そんなことをふと考えて胸が熱くなった。
< 13 / 113 >

この作品をシェア

pagetop