シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 別送の裏手にある大きな庭を歩く私。
 庭の向こうには、これまた広大なガレージがあった。
 さすが、桜ヶ丘グループ会長の別荘だ。
 何もかも、スケールが違いすぎる。

 日陰が涼しそうに見えたので、ガレージに勝手に入らせてもらうことにした私。
 ガレージに立ち入った私の目を真っ先に引いたのは、一番手前に停められていた自転車だった。
 なぜなら、やけに車体が長く、サドルが二つもついていたからだ。
 へぇ、こんな自転車があるんだぁ……。
 何だか、見ているだけで面白い。
 初めて見る大きな自転車に、私は興味津々だった。
 自転車までこんなに大きいなんて。
 桜ヶ丘会長、すごいなぁ。
 
 そっと自転車のサドルを撫でる私。
 このザラザラとした感触……そういえば……。
 しょう君と私は、二人乗りをしようとしたことがあったっけ。
 ヘルメットをしていたようには思えないし、もし二人乗りをしていたら法律的にアウトだっただろうけど、実際にはしていない。
 というより、できなかったんだっけ。
 私は目を閉じると、その時のことを思い出してみた。
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