シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 私の頬を撫でる潮風が、また一つ、当時の思い出を呼び起こした。

 よく浜辺で遊んでいた私たち。
 二人、裸足になって、波打ち際で貝殻を探していた日のことを思い出す。

 夏のある日、彼が私にくれた宝貝は、今でも私の宝物だ。
 今ここには持ってきていないけど、大切にしまってある。

 寄せては返す波の音と、彼の明るい声が、まるで昨日のことのように……。

 ショウ君の思い出が次から次へと脳裏に蘇ってくる……。

 ショウ君は、4月4日生まれということもあり、クラスの中でもかなり体格がいいほうだった。

 そして運動が大得意。
 駆けっこでも、クラスの中で一、二を争うほどだったっけ。

 また、ショウ君は、かなりの負けず嫌いだった。
 私に「朝顔で勝負だ!」と一方的に勝負を持ちかけ、並んで育てていた朝顔の伸びを競い合ったことがある。
 2本仲良く並んだ朝顔。
 左側がショウ君ので、右側が私の、と決めたのだ。
 そうしてお互い水遣りを続けたんだけど、ショウ君はよく「一日くらい大丈夫だろ」と言ってサボっていた。
 面倒だったみたい。
 でも、私はしっかり、自分の朝顔だけでなく、彼のにもお水をあげていたから、その甲斐もあってか、彼の朝顔のほうがよく伸びていたのを覚えている。
 そして最終的に彼の勝ちとなった。
 ショウ君の得意げな表情を見て、私も凄く嬉しくなったことが今でも忘れられない。
 元々、私にとっては勝負の結果など、どうでもよかったから。
 彼の嬉しそうな笑顔が、私をどれほど幸せな気持ちにしてくれたか、言葉で言い表すことはできない。
 彼の朗らかな笑顔を見て、私は胸の高鳴りを抑えるのに苦労した。
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