シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
「あの、ちょっとお聞きしたいことが」
お店を出たところで、思い切って切り出した。
「何なりとお尋ねください」
蓮藤さんはいつもどおり、朗らかな笑みを浮かべている。
「えっと……。蓮藤さんって、奥様はいらっしゃいますか?」
きょとんとする蓮藤さん。
唐突過ぎるし、当然の反応かな。
「まだ結婚しておりませんが、何か……?」
……!
私は喜びを抑えるのに苦労した。
バレてはいけない!
それに、奥様がいらっしゃらないからといって、私が蓮藤さんの恋人になれるかどうかには全く関係ないはず。
「私のような者のことを気にかけてくださって、誠にありがとうございます。ところで、どうして、そのようなことをお尋ねで?」
優しく尋ねてくれる蓮藤さん。
「ああ、いえ……なんとなく……。イヤリングをプレゼントって、何だかすごく恋人っぽいじゃないですか。奥様がいらっしゃるのでしたら、申し訳ないなって」
我ながら、うまく言い逃れることができたと思う。
蓮藤さんはほんの一瞬、複雑そうな表情をしたけど、すぐに微笑みを取り戻してくれた。
半ば、苦笑に近いような表情だけど。
「やはり、少しまずかったでしょうか? 会長の未来の奥様かもしれない方を喜ばせようとしただけなのですが」
蓮藤さんご本人の意思でプレゼントしてもらえたわけじゃないということがはっきりし、またちょっとがっかりする私。
本当はがっかりしてちゃ、まずいんだけど。
そして、「桜ヶ丘さんの未来の奥さん」ということも、私にとっては全然ピンと来ない。
多分……そうはならない気がしている。
というか、「そうなりたくない」が正しいかな。
まだお会いしたこともない桜ヶ丘さんに対して、失礼千万だと思うけれど。
でも……お付き合いの相手としては、やはり私は蓮藤さんがいい。
もう、ショウ君とも会えないのなら。
お店を出たところで、思い切って切り出した。
「何なりとお尋ねください」
蓮藤さんはいつもどおり、朗らかな笑みを浮かべている。
「えっと……。蓮藤さんって、奥様はいらっしゃいますか?」
きょとんとする蓮藤さん。
唐突過ぎるし、当然の反応かな。
「まだ結婚しておりませんが、何か……?」
……!
私は喜びを抑えるのに苦労した。
バレてはいけない!
それに、奥様がいらっしゃらないからといって、私が蓮藤さんの恋人になれるかどうかには全く関係ないはず。
「私のような者のことを気にかけてくださって、誠にありがとうございます。ところで、どうして、そのようなことをお尋ねで?」
優しく尋ねてくれる蓮藤さん。
「ああ、いえ……なんとなく……。イヤリングをプレゼントって、何だかすごく恋人っぽいじゃないですか。奥様がいらっしゃるのでしたら、申し訳ないなって」
我ながら、うまく言い逃れることができたと思う。
蓮藤さんはほんの一瞬、複雑そうな表情をしたけど、すぐに微笑みを取り戻してくれた。
半ば、苦笑に近いような表情だけど。
「やはり、少しまずかったでしょうか? 会長の未来の奥様かもしれない方を喜ばせようとしただけなのですが」
蓮藤さんご本人の意思でプレゼントしてもらえたわけじゃないということがはっきりし、またちょっとがっかりする私。
本当はがっかりしてちゃ、まずいんだけど。
そして、「桜ヶ丘さんの未来の奥さん」ということも、私にとっては全然ピンと来ない。
多分……そうはならない気がしている。
というか、「そうなりたくない」が正しいかな。
まだお会いしたこともない桜ヶ丘さんに対して、失礼千万だと思うけれど。
でも……お付き合いの相手としては、やはり私は蓮藤さんがいい。
もう、ショウ君とも会えないのなら。