シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
花火
夕食後、蓮藤さんが花火に誘ってくれた。
もちろん、使用するのは、朝に見せてくれた花火セットだ。
両親、蓮藤さん、そして私は、そそくさと庭へ移動する。
蓮藤さんは花火セットと共に、水の入ったバケツを用意してくれた。
「ねぇ、コックさんたちもご一緒にどうでしょう? にぎやかなほうが楽しいですし」
お母さんが蓮藤さんに提案した。
「そうですね。みんなでワイワイやりましょう」
お父さんも賛成のようだ。
蓮藤さんは最初ちょっと困ったような表情をしていたが、すぐに「そういうことでしたら、呼びかけてみますよ」と言って、いったん家の奥へと引き下がっていった。
やがて戻ってきた蓮藤さん。
その後ろに、コックさんたちの姿があった。
その中には蘿蔔さんの姿も。
蘿蔔さんは「私などにまでお声かけいただき、なんとお礼を申し上げればよいのか」と恐縮しきりだった。
両親は、「いえいえ、人数が多いほうが楽しいですから」と笑う。
私も全く同感だった。
そして、みんなで花火を楽しむことに。
色鮮やかな花火が次々と点火され、私たちは歓声をあげたり、見とれたりしていた。
本当に綺麗……。
庭のそこかしこから、虫の声もしており、私はうっとりと夏気分に浸っていた。
夏っていいなぁ。
しばらくして、一つの花火を手にとって、蓮藤さんが苦笑いしながら言った。
「ここにネズミ花火がございますが、これは危険ですので、やめておきませんか?」
うわぁ、蓮藤さんと私、すごく気が合う!
私も過去のあの経験から、トラウマになっているから……。
それでも、両親が「やりたい!」と言って聞かず、蓮藤さんと私はネズミ花火のときだけ二人で家の中へ引き下がることに。
なんだかんだ、こうして二人っきりになれたので、私は内心嬉しかった。
両親たちに心の中で感謝する私。
「雫様もネズミ花火はお嫌いなのですね」
「ええ、以前ちょっと色々ありまして」
「もしかして、襲い掛かられた、とか?」
「あ、蓮藤さんもですか?」
やっぱり、そういう経験、よくあるんだ。
ちょっと嬉しくなる私。
「あれは危険すぎますよ。ある種、ロケット花火レベルの危険度じゃないですか」
面白そうに言う蓮藤さん。
私もおかしくなって、くすくす笑う。
蓮藤さんと話してると、すごく楽しい。
やっぱり私……蓮藤さんのことが好き。
大好き。
蓮藤さんのこと、もっと色々、知りたいんだけど……。
うぅ……。
桜ヶ丘さんにも、両親にも、烏丸さんにも……そして蓮藤さんにも、全員に申し訳ない。
どうすればいいの……。
でも、気持ちは止まらない。
さっき見とれていた花火のように、一度ついた火は、風や息では吹き消すことなどできないのだ。
水に突っ込んだり、土をかけたり、そうした荒業でもしない限りは。
その後、「ネズミ花火、終わったよ」という両親の声で、再びみんなと合流した蓮藤さんと私。
締めはやっぱり、線香花火だった。
「綺麗ですね……」
ボソッと言う蓮藤さん。
その横顔に私は釘付けになった。
線香花火の光が優しく照らす、その横顔に。
花火の儚い光は、最後一瞬だけ激しく光ったかと思うと、やがて消えてしまった。
もちろん、使用するのは、朝に見せてくれた花火セットだ。
両親、蓮藤さん、そして私は、そそくさと庭へ移動する。
蓮藤さんは花火セットと共に、水の入ったバケツを用意してくれた。
「ねぇ、コックさんたちもご一緒にどうでしょう? にぎやかなほうが楽しいですし」
お母さんが蓮藤さんに提案した。
「そうですね。みんなでワイワイやりましょう」
お父さんも賛成のようだ。
蓮藤さんは最初ちょっと困ったような表情をしていたが、すぐに「そういうことでしたら、呼びかけてみますよ」と言って、いったん家の奥へと引き下がっていった。
やがて戻ってきた蓮藤さん。
その後ろに、コックさんたちの姿があった。
その中には蘿蔔さんの姿も。
蘿蔔さんは「私などにまでお声かけいただき、なんとお礼を申し上げればよいのか」と恐縮しきりだった。
両親は、「いえいえ、人数が多いほうが楽しいですから」と笑う。
私も全く同感だった。
そして、みんなで花火を楽しむことに。
色鮮やかな花火が次々と点火され、私たちは歓声をあげたり、見とれたりしていた。
本当に綺麗……。
庭のそこかしこから、虫の声もしており、私はうっとりと夏気分に浸っていた。
夏っていいなぁ。
しばらくして、一つの花火を手にとって、蓮藤さんが苦笑いしながら言った。
「ここにネズミ花火がございますが、これは危険ですので、やめておきませんか?」
うわぁ、蓮藤さんと私、すごく気が合う!
私も過去のあの経験から、トラウマになっているから……。
それでも、両親が「やりたい!」と言って聞かず、蓮藤さんと私はネズミ花火のときだけ二人で家の中へ引き下がることに。
なんだかんだ、こうして二人っきりになれたので、私は内心嬉しかった。
両親たちに心の中で感謝する私。
「雫様もネズミ花火はお嫌いなのですね」
「ええ、以前ちょっと色々ありまして」
「もしかして、襲い掛かられた、とか?」
「あ、蓮藤さんもですか?」
やっぱり、そういう経験、よくあるんだ。
ちょっと嬉しくなる私。
「あれは危険すぎますよ。ある種、ロケット花火レベルの危険度じゃないですか」
面白そうに言う蓮藤さん。
私もおかしくなって、くすくす笑う。
蓮藤さんと話してると、すごく楽しい。
やっぱり私……蓮藤さんのことが好き。
大好き。
蓮藤さんのこと、もっと色々、知りたいんだけど……。
うぅ……。
桜ヶ丘さんにも、両親にも、烏丸さんにも……そして蓮藤さんにも、全員に申し訳ない。
どうすればいいの……。
でも、気持ちは止まらない。
さっき見とれていた花火のように、一度ついた火は、風や息では吹き消すことなどできないのだ。
水に突っ込んだり、土をかけたり、そうした荒業でもしない限りは。
その後、「ネズミ花火、終わったよ」という両親の声で、再びみんなと合流した蓮藤さんと私。
締めはやっぱり、線香花火だった。
「綺麗ですね……」
ボソッと言う蓮藤さん。
その横顔に私は釘付けになった。
線香花火の光が優しく照らす、その横顔に。
花火の儚い光は、最後一瞬だけ激しく光ったかと思うと、やがて消えてしまった。