シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
着替えでドキドキ
それから、私たちはその小さな無人島を後にすることにし、泳ぎ始めた。
行きよりも帰りのほうが長く感じたのは、恐らく潮の満ち引きが影響してるんだと思う。
ショウ君と一緒に行き来していたとき、そのことを意識していたから。
でも、少し疲れただけで、難なく元の浜辺へ泳ぎ着いた私たち。
浜辺を歩き、荷物の場所まで戻り、そして帰り支度を始めることに。
だけど……予想通り、どこにも、更衣室もシャワーも見当たらない。
当たり前か……。
「ん? 何か探してるのか?」
きょろきょろする私を見て、不審に思ったのか、翔吾君が聞いてくれた。
「えっと、更衣室とかシャワーとか、ないよね」
「ああ、ないよな~。観光客もそこそこ増えてきてるんだし、いい加減、作ればいいのにな」
苦笑する翔吾君。
「で、着替えにくいわけだな。安心しろ、俺がカーテンになってやる」
そう言うと、翔吾君はバスタオルを両手で持ち、腕を広げた。
そのまま、私を包み込むようにしてくれる。
確かに、これで他の人からは見えない。
翔吾君には、ばっちり見られちゃうけど。
でも、翔吾君になら、いいかな……。
男性に裸を見せるだなんて、もちろん私にとっては初めてのことだけど。
そもそも、ビキニ姿ですら初めてだったんだし。
「自分でバスタオル巻けるけど……」
「だぁ~! 分かってないのかよ! 俺がこうしたいからに決まってるだろ! 空気を読め」
笑いながら言う翔吾君。
「ご、ごめん……。恥ずかしくて、テンパっちゃって」
「俺たち恋人だろ。別に恥ずかしがることないのに」
「そうは言っても……。まだ慣れてなくて……」
「まぁ、そういうところも、雫のいいところかもな。初々しいところも、俺は好きだな」
恥ずかしさで、全身の血流が頭に集まってしまってるような感じ。
「さぁ、着替えろって。俺がなめ回すように凝視しておいてやるからさ」
「もう~」
私は笑いながら、翔吾君の身体をつつく。
笑ってはみるけれど、恥ずかしいというのは紛れもない事実だ。
ドキドキしながらビキニを外す私。
翔吾君は宣言どおり、食い入るように見つめている。
「ん? じろじろ見るなんて、非紳士的だと思ったか?」
「そんなことないよ」
「なら、いいんだけどな。でも仕方ないだろ。ここであからさまに目をそらすのも、不自然すぎるじゃん」
そ、それは確かに……。
そう思いつつ、テンパっている私はブラをつけないまま、ボトムスの水着も脱いでしまった。
「おっと、しっかり身体を拭いてから、着ろよ」
慌て気味に下着を手にする私に、忠告してくれる翔吾君。
私はそそくさとバスタオルで身体を拭いた。
視線がすごく気になるけど……全然嫌じゃない不思議。
生まれたままの姿を見られているわけだから、普段の私ならもっともっと恥ずかしがって、嫌になったとしてもおかしくないはず。
やっぱり……翔吾君は特別。
「ほら、背中ももっとしっかり拭けよ」
そう言って、バスタオル越しに抱きしめるようにして翔吾君は背中を拭いてくれた。
ドキドキして言葉が出ない。
バスタオルが間にあるとはいえ、私は裸だし、翔吾君も裸に近い格好なのに。
そして、えもいわれぬほどの歓びがこみ上げてくる。
抱きしめてもらえて、すごく嬉しい……。
このまま時間が止まればいいのに、と思った。
「ほら、終わったぞ。風邪ひくから、さっさと下着つけろよ」
「え、もう終わり?」
あ……。
つい、思ったことを口にしちゃった。
そのことの意味を考え、自分でもはっきり分かるほどに耳まで熱くなる私。
「こんな衆人環視の場所で、これ以上できないだろ」
翔吾君は笑いながら言う。
「ご、ごめん」
「謝るなって。俺だって、したくないわけではないからな。まぁ、今日でも明日でも、部屋で二人っきりになれば、続きをしようぜ」
私はごくんとつばを飲み込んだ。
続きって……。
でも……心では不思議と、嫌がるどころか、今すぐにでも続きをしてほしい気がしていた。
「お願いね」
私はそう言うと、自分でも大胆だと思ったけど、我慢できずに翔吾君の胸に飛び込んだ。
バスタオル越しだけど。
「おう。任せとけって。だけど、いい加減、ここで大胆な行動はよせ。二人っきりのときにたっぷりすればいいから」
「あ、ご、ごめんね……」
恥ずかしい……。
翔吾君相手だと、どうしても気持ちのほうが前へ前へ出てしまう。
私は急ぎ足で、下着を着けた。
「お、俺が買ってやったやつじゃん、それ」
嬉しそうに言う翔吾君。
「うん。早速、使わせてもらおうって思って」
「淡いブルーは、雫によく似合うな」
そう言って、翔吾君はまた、バスタオル越しに私を抱きしめてくれた。
「おっと、今度は俺が暴走したか。いかんいかん。続きはウェブで……じゃなくて、部屋で、だな」
「ぷっ」
思わずふきだす私。
もう~、突然そういうギャグを入れないでほしいなぁ。
でも、そういうところも好きだけど。
「帰ったら部屋で、他の下着も見せてくれよ。ピンクのも買ってただろ。あれを着けた雫を、特に見てみたいから」
「うん、分かった。買ってくれてありがとうね」
「俺の女だから、当然だろ。さぁ、服着ろって。また俺が暴走しかねないからな」
冗談めかせて言う翔吾君。
私も軽く笑いながら、服を着た。
その後、翔吾君が着替える番だったけど、「さすがに俺は、今みたいにタオルを巻いてもらって着替えると不自然すぎる」と言って、自らタオルを巻いて着替える。
「俺のを見たい?」
こんなことを聞いてくる意地悪な翔吾君。
「もう~」
「どっちだよ」
「それはその……。見たくなくはないよ」
恥ずかしくて、こう言うのが精一杯だった。
「素直になればいいのになぁ。そういうとこも、雫らしいけど」
そう言って、ちょっと残念そうな翔吾君。
「見たい」って言えばよかったかな。
ちょっぴり後悔した。
行きよりも帰りのほうが長く感じたのは、恐らく潮の満ち引きが影響してるんだと思う。
ショウ君と一緒に行き来していたとき、そのことを意識していたから。
でも、少し疲れただけで、難なく元の浜辺へ泳ぎ着いた私たち。
浜辺を歩き、荷物の場所まで戻り、そして帰り支度を始めることに。
だけど……予想通り、どこにも、更衣室もシャワーも見当たらない。
当たり前か……。
「ん? 何か探してるのか?」
きょろきょろする私を見て、不審に思ったのか、翔吾君が聞いてくれた。
「えっと、更衣室とかシャワーとか、ないよね」
「ああ、ないよな~。観光客もそこそこ増えてきてるんだし、いい加減、作ればいいのにな」
苦笑する翔吾君。
「で、着替えにくいわけだな。安心しろ、俺がカーテンになってやる」
そう言うと、翔吾君はバスタオルを両手で持ち、腕を広げた。
そのまま、私を包み込むようにしてくれる。
確かに、これで他の人からは見えない。
翔吾君には、ばっちり見られちゃうけど。
でも、翔吾君になら、いいかな……。
男性に裸を見せるだなんて、もちろん私にとっては初めてのことだけど。
そもそも、ビキニ姿ですら初めてだったんだし。
「自分でバスタオル巻けるけど……」
「だぁ~! 分かってないのかよ! 俺がこうしたいからに決まってるだろ! 空気を読め」
笑いながら言う翔吾君。
「ご、ごめん……。恥ずかしくて、テンパっちゃって」
「俺たち恋人だろ。別に恥ずかしがることないのに」
「そうは言っても……。まだ慣れてなくて……」
「まぁ、そういうところも、雫のいいところかもな。初々しいところも、俺は好きだな」
恥ずかしさで、全身の血流が頭に集まってしまってるような感じ。
「さぁ、着替えろって。俺がなめ回すように凝視しておいてやるからさ」
「もう~」
私は笑いながら、翔吾君の身体をつつく。
笑ってはみるけれど、恥ずかしいというのは紛れもない事実だ。
ドキドキしながらビキニを外す私。
翔吾君は宣言どおり、食い入るように見つめている。
「ん? じろじろ見るなんて、非紳士的だと思ったか?」
「そんなことないよ」
「なら、いいんだけどな。でも仕方ないだろ。ここであからさまに目をそらすのも、不自然すぎるじゃん」
そ、それは確かに……。
そう思いつつ、テンパっている私はブラをつけないまま、ボトムスの水着も脱いでしまった。
「おっと、しっかり身体を拭いてから、着ろよ」
慌て気味に下着を手にする私に、忠告してくれる翔吾君。
私はそそくさとバスタオルで身体を拭いた。
視線がすごく気になるけど……全然嫌じゃない不思議。
生まれたままの姿を見られているわけだから、普段の私ならもっともっと恥ずかしがって、嫌になったとしてもおかしくないはず。
やっぱり……翔吾君は特別。
「ほら、背中ももっとしっかり拭けよ」
そう言って、バスタオル越しに抱きしめるようにして翔吾君は背中を拭いてくれた。
ドキドキして言葉が出ない。
バスタオルが間にあるとはいえ、私は裸だし、翔吾君も裸に近い格好なのに。
そして、えもいわれぬほどの歓びがこみ上げてくる。
抱きしめてもらえて、すごく嬉しい……。
このまま時間が止まればいいのに、と思った。
「ほら、終わったぞ。風邪ひくから、さっさと下着つけろよ」
「え、もう終わり?」
あ……。
つい、思ったことを口にしちゃった。
そのことの意味を考え、自分でもはっきり分かるほどに耳まで熱くなる私。
「こんな衆人環視の場所で、これ以上できないだろ」
翔吾君は笑いながら言う。
「ご、ごめん」
「謝るなって。俺だって、したくないわけではないからな。まぁ、今日でも明日でも、部屋で二人っきりになれば、続きをしようぜ」
私はごくんとつばを飲み込んだ。
続きって……。
でも……心では不思議と、嫌がるどころか、今すぐにでも続きをしてほしい気がしていた。
「お願いね」
私はそう言うと、自分でも大胆だと思ったけど、我慢できずに翔吾君の胸に飛び込んだ。
バスタオル越しだけど。
「おう。任せとけって。だけど、いい加減、ここで大胆な行動はよせ。二人っきりのときにたっぷりすればいいから」
「あ、ご、ごめんね……」
恥ずかしい……。
翔吾君相手だと、どうしても気持ちのほうが前へ前へ出てしまう。
私は急ぎ足で、下着を着けた。
「お、俺が買ってやったやつじゃん、それ」
嬉しそうに言う翔吾君。
「うん。早速、使わせてもらおうって思って」
「淡いブルーは、雫によく似合うな」
そう言って、翔吾君はまた、バスタオル越しに私を抱きしめてくれた。
「おっと、今度は俺が暴走したか。いかんいかん。続きはウェブで……じゃなくて、部屋で、だな」
「ぷっ」
思わずふきだす私。
もう~、突然そういうギャグを入れないでほしいなぁ。
でも、そういうところも好きだけど。
「帰ったら部屋で、他の下着も見せてくれよ。ピンクのも買ってただろ。あれを着けた雫を、特に見てみたいから」
「うん、分かった。買ってくれてありがとうね」
「俺の女だから、当然だろ。さぁ、服着ろって。また俺が暴走しかねないからな」
冗談めかせて言う翔吾君。
私も軽く笑いながら、服を着た。
その後、翔吾君が着替える番だったけど、「さすがに俺は、今みたいにタオルを巻いてもらって着替えると不自然すぎる」と言って、自らタオルを巻いて着替える。
「俺のを見たい?」
こんなことを聞いてくる意地悪な翔吾君。
「もう~」
「どっちだよ」
「それはその……。見たくなくはないよ」
恥ずかしくて、こう言うのが精一杯だった。
「素直になればいいのになぁ。そういうとこも、雫らしいけど」
そう言って、ちょっと残念そうな翔吾君。
「見たい」って言えばよかったかな。
ちょっぴり後悔した。