シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 カラオケボックスを出ると、いつしか4時を回っているようだった。
「さーて、そろそろいったん別荘へ帰るか。夏祭りの準備があるから、早めにな」
「うん、そうだね。運転ばかりさせてごめんね」
「気にするなって。次、そういうこと言ったら、罰としてその場で強引にキスするからな。俺に対しては気兼ねとか不要だから、覚えておけよ」
「う、うん……。でも、キスされるの好きだし、あまり罰にはなってないよ」
 言ってしまってから、「あ、また大胆なことを言ってしまった」と恥ずかしくなる。
「言うようになったじゃん。そう、それでいい」
 満足そうに翔吾君は言う。
「じゃあ、帰るぞ」
 私たちは駐車場へ向かった。
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