シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
林を抜けると、ひたすら続く石段へと出た。
長い階段だなぁ。
「この石段を上りきると、神社があるんだけど、その境内だ。恐らく、人が少ない隠れスポットのはず。もう少しだから、辛抱してくれ。階段、きついだろうけど」
「うん、わかった」
翔吾君の気遣いが嬉しかった。
そして私たちは石段をゆっくりと上り始める。
一段ずつ、慎重に。
やっと、神社の境内へとたどり着いた。
「こっちこっち。もうすぐだからな」
そう言って、翔吾君は元気付けてくれる。
私としても、体力には自信がなくもないので、さほどへとへとではないんだけど、ただただ翔吾君の気遣いが胸を打つ。
大事にされてるのが分かって、心が弾んだ。
そして―――。
「ここだ。花火はまだみたいだな、間に合ったぞ」
深呼吸をしながら言う翔吾君。
そこはすごく見晴らしが良くて、出店の並ぶ通りや家並みを一望できた。
周りには木々が立ち並んでいるけれど、私たちのいる場所だけ、開けている感じ。
なるほど、ここなら、花火もよく見えそう。
辺りは暗いけれど、境内にある電灯の明かりと、翔吾君の持つ懐中電灯の明かりがあるので、真の闇に包まれているという訳ではない。
空の星が、より綺麗に見えていた。
そして、私は隣の翔吾君にまた目を移す。
「いい場所に連れてきてくれて、ありがとう。ここのことも、秘密だよね」
「うんうん。広まると困るからな。ただ、あの洞窟とは違って、ここを知る人は、俺の友達に数人だけいるんだ。そいつらは今日、ここに来るのかどうかは知らないけどな」
翔吾君もこの島に友達がいるんだ。
お仕事で何度も来てるってことだし、当然かな。
それとも……。
小さい頃、ここで過ごしたときに出来た友達……?
ショウ君にとっての私や里子たちみたく?
その辺のことは相変わらずすごく気になる。
聞いてみよっかな。
しかし、そのとき―――。
ヒューッというかすかな音がしたかと思うと、続いてドーンという大きな音が響き渡った。
「来た来た! おい、こら。よそ見してる場合じゃないだろ。花火、花火」
空を見ると、次々と花火が上がっていく。
「わぁ、綺麗!」
思わず声が出た。
こんなに近くで花火を見るなんて、生まれて初めて。
花火はすごく大きく感じられた。
そして、音もすごい。
身体に音がどんどんぶつかってくる印象だ。
「綺麗だな。やっぱ、花火はいいものだ」
満足げに言う翔吾君。
私も全く同感だった。
そんな話をしているうちにも、花火は休むことなく上がっていき、夜空を染める。
赤、青、黄、白……色々な色が、夜空に飛び散っていた。
形も様々で、飽きることがない。
私はうっとりと空を見つめていた。
そんなとき―――。
長い階段だなぁ。
「この石段を上りきると、神社があるんだけど、その境内だ。恐らく、人が少ない隠れスポットのはず。もう少しだから、辛抱してくれ。階段、きついだろうけど」
「うん、わかった」
翔吾君の気遣いが嬉しかった。
そして私たちは石段をゆっくりと上り始める。
一段ずつ、慎重に。
やっと、神社の境内へとたどり着いた。
「こっちこっち。もうすぐだからな」
そう言って、翔吾君は元気付けてくれる。
私としても、体力には自信がなくもないので、さほどへとへとではないんだけど、ただただ翔吾君の気遣いが胸を打つ。
大事にされてるのが分かって、心が弾んだ。
そして―――。
「ここだ。花火はまだみたいだな、間に合ったぞ」
深呼吸をしながら言う翔吾君。
そこはすごく見晴らしが良くて、出店の並ぶ通りや家並みを一望できた。
周りには木々が立ち並んでいるけれど、私たちのいる場所だけ、開けている感じ。
なるほど、ここなら、花火もよく見えそう。
辺りは暗いけれど、境内にある電灯の明かりと、翔吾君の持つ懐中電灯の明かりがあるので、真の闇に包まれているという訳ではない。
空の星が、より綺麗に見えていた。
そして、私は隣の翔吾君にまた目を移す。
「いい場所に連れてきてくれて、ありがとう。ここのことも、秘密だよね」
「うんうん。広まると困るからな。ただ、あの洞窟とは違って、ここを知る人は、俺の友達に数人だけいるんだ。そいつらは今日、ここに来るのかどうかは知らないけどな」
翔吾君もこの島に友達がいるんだ。
お仕事で何度も来てるってことだし、当然かな。
それとも……。
小さい頃、ここで過ごしたときに出来た友達……?
ショウ君にとっての私や里子たちみたく?
その辺のことは相変わらずすごく気になる。
聞いてみよっかな。
しかし、そのとき―――。
ヒューッというかすかな音がしたかと思うと、続いてドーンという大きな音が響き渡った。
「来た来た! おい、こら。よそ見してる場合じゃないだろ。花火、花火」
空を見ると、次々と花火が上がっていく。
「わぁ、綺麗!」
思わず声が出た。
こんなに近くで花火を見るなんて、生まれて初めて。
花火はすごく大きく感じられた。
そして、音もすごい。
身体に音がどんどんぶつかってくる印象だ。
「綺麗だな。やっぱ、花火はいいものだ」
満足げに言う翔吾君。
私も全く同感だった。
そんな話をしているうちにも、花火は休むことなく上がっていき、夜空を染める。
赤、青、黄、白……色々な色が、夜空に飛び散っていた。
形も様々で、飽きることがない。
私はうっとりと空を見つめていた。
そんなとき―――。