シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 いつしか、前方に見えていた島の姿が、どんどん大きくなってきていた。
 向かって右側に見えている浜辺と周辺の海が、とても綺麗だ。
 浅瀬は一部、エメラルドグリーンのような色をしていて、キラキラと輝いている。
 20年前、ショウ君と私も、浜辺や浅瀬で遊んでいたっけ。
 また、ショウ君のことを思い出してしまう私。
 
「おぉ、見えてきたな!」
 お父さんが船室から出てきて、私の横に立った。
「雫は、あの島のこと覚えてるのか?」
「うん、ちょっとだけ」
「ははは。小さかったから、仕方ないなぁ」
 ショウ君と過ごしたあの夏のことは、けっこう覚えてるんだけど。

 そうこうしているうちに、フェリーは港へと到着しようとしていた。
 カモメの鳴き声が、よりいっそう大きくなった気がする。
 潮風のにおいを吸い込んで、私は大きく深呼吸をした。

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