シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
花村さん
水族館を出たあと、モール内にあるカフェで休憩することに。
オープンカフェの椅子に腰掛けたとき、後ろから声をかけられ、ショウ君と私はそちらを向いた。
「峰霧さんと彼氏さん、ですよね?」
その人は……えっと、里子の友達の……。
「里子ちゃんと仲良くさせていただいている、花村です。花火大会のときにお会いしまして」
そうだ、花村さん。
私は慌てて挨拶を返す。
「こんにちは、花村さん」
「花村様、こんにちは。蓮藤翔吾と申します」
ショウ君はわざわざ立ち上がり、一礼する。
もうお仕事モードに切り替えたんだ。
さすが……。
「蓮藤さん、以前、お会いしましたよね?」
「ええ、花火大会のときですね」
ショウ君は、にこやかに答える。
だけど、この笑顔はお仕事用だと私には分かった。
普段は、もっと心から笑っているから。
私にだけ見せてくれる笑顔もあるし。
そのことが、密かに私の自慢だ。
「いえ、それより前にも。このモールによくいらっしゃいませんか?」
え?
「ええ、たまにお買い物をしますね。月に数回程度ですが」
「ですよね。綺麗にスーツを着こなされているので、覚えているんですよ」
「お褒めに預かり、恐縮です」
またしても綺麗なお辞儀をするショウ君。
「いえいえ、こちらこそ恐縮です。それでは、私は失礼いたしますね。峰霧さん、蓮藤さん、ごきげんよう」
軽く会釈をして、花村さんは歩き去っていく。
ショウ君と私も会釈を返して、見送った。
「何度も会ってたんだね」
花村さんの姿が見えなくなってから、すぐにショウ君に言う私。
何だか……面白くない。
これって、嫉妬かな。
花村さんも、綺麗な人だし。
「そうらしいな。まぁ、それほど大きくない島だから、珍しいことでもないな」
「それは、そうかな」
「花村さんか、お名前は覚えておかないと、次にお会いしたときに無礼なことになるぞ」
「わかってまーす」
「よろしい」
おどけて言うショウ君。
そして、私たちはしばし、雑談をして過ごした。
オープンカフェの椅子に腰掛けたとき、後ろから声をかけられ、ショウ君と私はそちらを向いた。
「峰霧さんと彼氏さん、ですよね?」
その人は……えっと、里子の友達の……。
「里子ちゃんと仲良くさせていただいている、花村です。花火大会のときにお会いしまして」
そうだ、花村さん。
私は慌てて挨拶を返す。
「こんにちは、花村さん」
「花村様、こんにちは。蓮藤翔吾と申します」
ショウ君はわざわざ立ち上がり、一礼する。
もうお仕事モードに切り替えたんだ。
さすが……。
「蓮藤さん、以前、お会いしましたよね?」
「ええ、花火大会のときですね」
ショウ君は、にこやかに答える。
だけど、この笑顔はお仕事用だと私には分かった。
普段は、もっと心から笑っているから。
私にだけ見せてくれる笑顔もあるし。
そのことが、密かに私の自慢だ。
「いえ、それより前にも。このモールによくいらっしゃいませんか?」
え?
「ええ、たまにお買い物をしますね。月に数回程度ですが」
「ですよね。綺麗にスーツを着こなされているので、覚えているんですよ」
「お褒めに預かり、恐縮です」
またしても綺麗なお辞儀をするショウ君。
「いえいえ、こちらこそ恐縮です。それでは、私は失礼いたしますね。峰霧さん、蓮藤さん、ごきげんよう」
軽く会釈をして、花村さんは歩き去っていく。
ショウ君と私も会釈を返して、見送った。
「何度も会ってたんだね」
花村さんの姿が見えなくなってから、すぐにショウ君に言う私。
何だか……面白くない。
これって、嫉妬かな。
花村さんも、綺麗な人だし。
「そうらしいな。まぁ、それほど大きくない島だから、珍しいことでもないな」
「それは、そうかな」
「花村さんか、お名前は覚えておかないと、次にお会いしたときに無礼なことになるぞ」
「わかってまーす」
「よろしい」
おどけて言うショウ君。
そして、私たちはしばし、雑談をして過ごした。