シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
山へ
それから、私たちは漣渚山という山へと向かった。
この山は標高があまり高くなく、トレッキングに最適だという。
そして……私にはうっすら、幼稚園時代にこの山のふもとにてショウ君と二人で遊んだ記憶がある。
花咲く野原を思い出し、懐かしさがこみ上げてきた。
途中、駐車場で車を止め、歩き始める私たち。
セミの声がいっそう激しくなっているみたい。
ふと、ショウ君が言った。
「覚えてるか? この近くの野原で、よく遊んでただろ?」
ショウ君も覚えててくれた!
私は嬉しくなる。
「うん、いっぱい遊んだね」
「その野原へ、まず行くか」
そして、私たちは野原へと向かう。
10分ほど歩いたところで、ショウ君が「ほら、ここ」と言った。
そこは、学校の校庭ほどの広さがある原っぱで、どこか既視感がある。
きっと、ここで私たち、遊んだんだ。
「雫はいちいち覚えてないかもだけど……」
ショウ君が語りかける。
「花を摘んで、髪飾りを作ったことがあって。それを雫に渡したら、すごく喜んでくれたのを覚えてる。花の髪飾りをつけた雫、可愛かったぞ」
「あ、ありがとう……」
そんなこと、あったんだ。
残念ながら、その記憶はない。
その髪飾り、どこへ行っちゃったのかな。
「また、つけてみるか?」
そう言って、きょろきょろ辺りを見回すショウ君。
あ、花を探してる?
「花がかわいそうだから、今はいいよ」
「雫らしいな。そういえば、当時もそんなことを言ってた気がする。じゃあ、造花のを買うか。それなら、いいだろ?」
「うん! だけど、どうしてそんなに花の髪飾りにこだわるの?」
「それをつけた雫が可愛いからに決まってんだろ。とりあえず、必ず買うから」
私は顔が熱くなるのに気づいた。
そんな風に言われるの、嬉しいな。
私たちは、しばしその野原に佇み、思い出話に花を咲かせた。
この山は標高があまり高くなく、トレッキングに最適だという。
そして……私にはうっすら、幼稚園時代にこの山のふもとにてショウ君と二人で遊んだ記憶がある。
花咲く野原を思い出し、懐かしさがこみ上げてきた。
途中、駐車場で車を止め、歩き始める私たち。
セミの声がいっそう激しくなっているみたい。
ふと、ショウ君が言った。
「覚えてるか? この近くの野原で、よく遊んでただろ?」
ショウ君も覚えててくれた!
私は嬉しくなる。
「うん、いっぱい遊んだね」
「その野原へ、まず行くか」
そして、私たちは野原へと向かう。
10分ほど歩いたところで、ショウ君が「ほら、ここ」と言った。
そこは、学校の校庭ほどの広さがある原っぱで、どこか既視感がある。
きっと、ここで私たち、遊んだんだ。
「雫はいちいち覚えてないかもだけど……」
ショウ君が語りかける。
「花を摘んで、髪飾りを作ったことがあって。それを雫に渡したら、すごく喜んでくれたのを覚えてる。花の髪飾りをつけた雫、可愛かったぞ」
「あ、ありがとう……」
そんなこと、あったんだ。
残念ながら、その記憶はない。
その髪飾り、どこへ行っちゃったのかな。
「また、つけてみるか?」
そう言って、きょろきょろ辺りを見回すショウ君。
あ、花を探してる?
「花がかわいそうだから、今はいいよ」
「雫らしいな。そういえば、当時もそんなことを言ってた気がする。じゃあ、造花のを買うか。それなら、いいだろ?」
「うん! だけど、どうしてそんなに花の髪飾りにこだわるの?」
「それをつけた雫が可愛いからに決まってんだろ。とりあえず、必ず買うから」
私は顔が熱くなるのに気づいた。
そんな風に言われるの、嬉しいな。
私たちは、しばしその野原に佇み、思い出話に花を咲かせた。