シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
ショウ君はどんどん奥へと進んでいき、前に道がなくなったところで立ち止まった。
「ここが一番奥のはずだ」
私は辺りを見回してみる。
天上に幾つか、鍾乳石らしきものが見えているのが印象的だった。
でも、そのほかは、ごく普通の洞窟に見える。
「静かだね。何を見せるために、ここへ連れてきたの?」
声がよく響く。
「これだ」
そう言って、ショウ君は突然しゃがみこんだ。
そちらに目をやると、地面にある大きな石と石の間に、何かがあるようだった。
ショウ君が両手でそれを取り出す。
それは……何の変哲もないクッキーの缶だった。
「クッキーを隠してたの?」
「バカ言え。こんなところにクッキーを隠す意味なんかないだろ」
面白そうに笑うショウ君。
「もちろん、中身のクッキーは美味しくいただいた。20年ほど前にな」
「へ?」
一瞬、意味が分からなかった。
そして、やっと理解する。
なるほど、ショウ君は幼稚園時代に、この缶を隠したんだ。
でも、何のためなんだろう。
「ここ、見てみろよ」
ショウ君が缶をさかさまにして、とある箇所を指差している。
そこには、賞味期限として19年前の日付が書かれていた。
「ほんとだ。賞味期限がこの日付ってことは、ほんとに20年くらい前の缶なんだね。で、中には何を入れてるの?」
「それは雫が見てくれ。俺は今まで、定期的にここに来るたび、この缶が盗まれたり、なくなったりしてないか慎重に確認してきたんだ。幸い、何事もなく、缶の中身はあの頃のままだ。ほら、遠慮なく、開けてみろって」
ショウ君はそう言って、缶を差し出してくる。
私は言われたとおり、それを開けてみた。
何が入ってるんだろう……。
「ここが一番奥のはずだ」
私は辺りを見回してみる。
天上に幾つか、鍾乳石らしきものが見えているのが印象的だった。
でも、そのほかは、ごく普通の洞窟に見える。
「静かだね。何を見せるために、ここへ連れてきたの?」
声がよく響く。
「これだ」
そう言って、ショウ君は突然しゃがみこんだ。
そちらに目をやると、地面にある大きな石と石の間に、何かがあるようだった。
ショウ君が両手でそれを取り出す。
それは……何の変哲もないクッキーの缶だった。
「クッキーを隠してたの?」
「バカ言え。こんなところにクッキーを隠す意味なんかないだろ」
面白そうに笑うショウ君。
「もちろん、中身のクッキーは美味しくいただいた。20年ほど前にな」
「へ?」
一瞬、意味が分からなかった。
そして、やっと理解する。
なるほど、ショウ君は幼稚園時代に、この缶を隠したんだ。
でも、何のためなんだろう。
「ここ、見てみろよ」
ショウ君が缶をさかさまにして、とある箇所を指差している。
そこには、賞味期限として19年前の日付が書かれていた。
「ほんとだ。賞味期限がこの日付ってことは、ほんとに20年くらい前の缶なんだね。で、中には何を入れてるの?」
「それは雫が見てくれ。俺は今まで、定期的にここに来るたび、この缶が盗まれたり、なくなったりしてないか慎重に確認してきたんだ。幸い、何事もなく、缶の中身はあの頃のままだ。ほら、遠慮なく、開けてみろって」
ショウ君はそう言って、缶を差し出してくる。
私は言われたとおり、それを開けてみた。
何が入ってるんだろう……。