この手に触れるもの
潔癖症と女嫌い
私の目に映るものは、すべて汚く見える。


綺麗なものなんて、この世に存在するのだろうか…と考えてしまうほどに。


「…きたない。」


別に、潔癖症になりたかったわけじゃ無い、私だって普通に生きたかった。


「…きよ?洗い過ぎじゃない?」


学校のトイレで、黙々と何回も手を洗い続ける私、東條清那に恐る恐る話しかける、私の唯一の理解者である草部杏理。


「…杏理、」


「そろそろお昼休み終わるよ?机の消毒終わってないでしょ?」


そう言って当たり前の様に笑いかける彼女に、小さく笑う。


「うん、ありがとう」


濡れた手を自分のハンカチで振れば、自前のアルコールで手を消毒する。
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